■ 建築家とのガレージハウスづくりについて
町田 住宅メーカーの場合は、建物にだけ予算を使って、エクステリアに手が回らない。家がむき出しの状態で「どうぞ、お引越しください」ですよ。
石原 そう、ほんとそうなんですよ。あれでは撮影は厳しいです、雑誌的に。
町田 それにエクステリアって後からだとローンが組みにくいんですよ。住宅メーカーで建てるとそれなりの家なんで、エクステリアもやっぱり200万、300万はかかるんですよ。ただその金額になるとさっと現金で出てこない。
石原 カーテンで100万も出せないですよ。家建てて、家具や家電を買ってるから。
「ガレージのある家 Vol. 14」で紹介された「多摩のガレージハウス・東京」 |
町田 そういう状況なので、「家+庭」でトータルでプロデュースすることが大切なんですよ。”家”と”庭”で「家庭」ですからね。「家庭」を大事にするオトコがカッコイイと。
石原 そうですね、そういうことも含めて、コストのバランスとコントロールが大切ですよ。そこにプロデュースに頼む価値が出てくる。
ただ、建てる人は、ほとんどが初めての方なので、経験したことがないから分からない。メーカーの住宅を取材していてそれは感じますね。「建物は出来たのですけど、カーテンが高くてびっくりしました」ってほんとよく聞きますよ。
町田 カーテンって意外にかかるんですよ。最初の予算を決めるときにちゃんと「カーテン代」として枠を取っておかないといけない。
石原 ほんとにそうです。ほぼ絶対に必要じゃないですか、カーテンって。昼はまだなんとかなるとしても夜なんか丸見えですからね。きっと考えもしなかったことなんでしょうね。
「ガレージのある家 Vol. 15」で紹介された「宝塚のガレージハウス2・兵庫」 |
町田 住宅メーカー側からすれば、自社の商品にはないものだから、当然、お客様で用意するものですよ。って感じでしょ。
石原 あと取材してびっくりしたお宅があったのですが、リビング・ダイニングにはちゃんと家具があるんですよ。でも、他はないんですよ(笑)。これからそろえて行きますっておっしゃってましたけど。
そんなことを目の当たりにすると、お客様が忘れがちなことも気づいてあげて、コストコントロールするというのは、ありがたいですよね。住宅メーカーだと建物(躯体)ありきで建ててしまうので。
建築家が入ることで20年後、30年後の将来像を見据えてあると思います。住宅メーカーがどこまでどうしているのか分かりかねますが。
建築家と建てたガレージハウスに取材へいくと、「この人はね、今はこうなんだけど、10年後、○○をしようと思っているんだよね。だからココにコンセントが作ってあるんだ」という話は出てくるので。
そういう将来設計、みんな今しか見てないでしょ。10年後、20年後のこともアドバイスできるのもプロデューサーと建築家の仕事ですよね。お客様は20年後どうなってるって考えても想像が追いつかないですよ。
20年後とかのアドバイスは大きいですよ。
町田 子供がいなくなって、空き部屋・使わない部屋がたくさんあったりね。子供部屋って何かを削ってつくることがあるでしょ、リビングだったり、浴室だったりね。
そうなると子供が独立してから必要なスペースをきちんと考えて建てるのもいいですね。
石原 プロデューサーだと事情は詳しく知っている。しかも、お客様と建築家とも違って、冷静な目で、見てあげることができる。
「ガレージのある家 Vol. 16」で紹介された「玉造のガレージハウス・大阪」 |
町田 そうですね、いつかはと思うなら最初からフェラーリが入る幅のガレージを考えないと(笑)。
石原 建築家とガレージハウスを建てた人は、建主さんと建築家との関係がいいですね。聞くとみなさん「この人と建てて面白かった、楽しかった」とおっしゃいますね。
町田 ザウスのお客様も建築家と友人のような関係になっている人は多いですよね。
「建築家って偉い人」っていうハードルをプロデューサーが低くしています。建築家と共通の話題を見つけたり、時には間違っていると指摘したり。
石原 しかもガレージハウスの場合は、クルマという共通の話題があるので、親しくなりやすいということもありますね。
町田 そうですね、恐らく、家以外の話もたくさんするのでそれだけ、違う一面が見たりして、お互いをよく理解できるんでしょうね。
私自身の建築家との家づくりの失敗からコミュニケーション不全というのを体感していますからね。
石原 知っている知っていないの差って大きいですよね。知らなければ、建築家のいいなりで進んでいってしまうでしょうね。そこに間に立って、「こうもできますよ」っていうプロデューサーの存在って大きいですよね。
町田 時間も無限にあるわけじゃないですし、限られた条件の中で最大の効果を出せる選択肢を用意して、お客様のイメージをカタチにしていくのがプロデューサーの役割ですね。 < 次ページへ>