十数年前の話になりますが、私がザウスに入社して半年ほどが経った頃。
『定年後に移住する家を、長野県の白馬村に建てたい』
そんなご要望の計画をお手伝いさせていただきました。
手伝ったと言っても、先輩の補佐的な役割でしたがw
建築用地はその計画が始まる10年以上も前に既に購入済み。
聞けば、登山やスキーがご夫婦共通の趣味であり、
白馬での生活は学生時代から想い描いていた『夢』。
何十年もの長い月日を経て、施主様の想い入れはそれはそれは相当なモノでした。
ザウス入社後、最初から最後まで担当した初めてに近い物件でもあり、
私にとっても、とても想い入れの深い計画です。
そんな施主様からお招きを受けまして、
築12年が経った「白馬の家」にお伺いしてきました。
2階通路から1階を見下ろす。
1階から見上げる。
家の中央に配された、まるで一本の木のようにそびえ立つ太い大黒柱。
屋根の積雪荷重を受ける無数の垂木はまるで梁のよう。
更にそれを受ける3本の丸太梁が。。。と、
構造的に配された各部材が意匠としてもとても印象的で、
意匠設計と構造設計とが互いに意見をぶつけ合わせながら
緻密に計算された結果と見て分かります。今はw
荷重、湿度、寒暖差、薪ストーブと、木にとっては非常に過酷な環境ですが、
もちろんヤセ・割れは生じていましたが、全く想定の範囲内。
造作建具も全てスムーズ、床材も経年変化で味わいが出ました。
壁の漆喰塗りは一部クラックもありましたが、驚くほどキレイな状態でした。
地下基礎部分に設けられた「大地のテラス」
斜面地に建てられている為、家の基礎もとんでもないことになっています。
そこを有効活用するため、
家のリビングからとは違う低い視線で南アルプスを眺めることができるテラス。
薪を割ったり、BBQをしたり、蕎麦を打ったり、半屋外の多目的な空間。
家の中はもちろんですが、ここの雰囲気もとても良いものです。
周囲は全て木々の生い茂る森の中。
浴室も必然的にこうなりますね。
生憎の天気で写真がイマイチですが、
豪雪地域で築12年の家とは思えない程、とてもキレイな状態を保たれていました。
愛情を持って丁寧に暮らしている施主様に本当に感謝です。
同行者の一人が「本物に触れた時、人は心癒され魂が喜ぶ」
そうおっしゃっていたのがとても印象的で、まさにその言葉通りの家。
建築当時の思い出、白馬での暮らし、互いの近況の報告など、
杯を酌み交わしながらあっちへいったりこっちを見たり、
「ここからのこの角度がエエねん!」
「あっちの照明は消して、こっちを点けて、照度を30%に」
「そうそう、ここの曲線は大工さんに嫌がられたなー!」
上へ下へと杯を片手に足元をフラ付かせながら、
建築好きあるあるの飲み会、深夜まで話は尽きませんでした。
M様、お招きいただき本当にありがとうございました!!
「白馬の家」の詳細は こちら からご覧いただけます。
(原田)