業務上、日々様々な住宅ローンを比較検討していますが、
この超低金利時代、少しでも利を得られるようにと金融機関も対策を講じているのを感じます。
土地や建物の住宅ローン手続きのため、2・3回ほど銀行へ行く必要があるのですが、
これまでは淡々と事務手続きを進めるだけで終わっていたものが、近頃は。。。
【銀行】「これを機会に生命保険の見直しはいかがでしょうか?」
【銀行】「八大疾病への備えや日々の傷害保険、火災保険などは既にお考えですか?」
【銀行】「投資などの金融商品にご興味はございませんか?」
【銀行】「ほとんどの方が長期固定金利を選ばれています」(←これはダメ)
もちろん、お客様のために良かれと思っての提案だとは理解していますが、
同席しているこちらの立場も少しは考えてもらいたい。
こんな時代、変動金利一本でイイでしょ!はい、終了!! (←これもダメ)
そんな中、先日とあるFPの方にお会いする機会がありまして、
「なるほど」と思わせることを聞くことができました。
これまでの通例として、団体信用生命保険は当たり前に入るものだと思っていましたが、
どうも「団信に入らない」という考え方もあるのだと、初めて思い至りました。
注意)以下、細かいお金の話が続きます。保険やローンといった金融商品に興味の無い方や、既に民間の金融機関から融資を受けている方はさらっと流してください m(_ _)m
団体信用生命保険(通称、団信)とは、
住宅ローンの返済中に借主が死亡した(又は高度障害となった)場合、保険会社がその時点でのローン借入残高に相当する保険金を本人(ローン契約者)に代わって銀行(債権者)に支払うことで、ローンが完済される保険です。
民間の金融機関の場合、団信の保険料を金融機関が全額負担する(=金利に含まれる)ため、加入が借入れの条件となり、「団信に加入しない」という選択肢はありません。その為、逆に団信の審査に通らない場合、住宅ローンの借入れは不可能となります。(過去に癌を患い既に完治している場合でも、団信に加入できずに住宅ローンが組めないというケースがこれに当たります)
団信への加入が義務付けられていないのは「フラット35」です。
もちろん、万が一の際に残されたご家族の事を考えると、安易に「義務じゃないなら団信に入らない」という選択をするのは非常に危険です。
今回の話は「フラット35の団信に入らず、新規で生命保険に入る」という選択肢です。
1)フラット35の団信に加入
2)保険会社の定期死亡保険に加入
このケースにおいて、借入れ全期間の団信の特約料(保険料)合計額と、借入額の “半額“(※ここがポイント)を保険額とした定期死亡保険の保険料を比較。
(※団信は徐々に保険金額が減っていくのに対し、定期死亡保険はずっと一定の保険金額です。仮に3,000万円の住宅ローンを35年返済で借入れをした場合、30年目に亡くなったとしたら団信は500万程度の残債分しか支払われませんが、定期死亡保険は掛け金の満額がおりてきます。その為、同等で比較をするには、定期死亡保険の保険額をローンの半額程度にする必要があります。)
すると、ローン借入れ全期間の保険料合計額は団信より生命保険の方がお得になり、
さらに死亡リスクが増える後半には生命保険の保険金額がより多くなります。
(※仮に30年目に亡くなったとしたら、団信は500万程度の残債がゼロになるだけですが、生命保険だと1,500万円の保険料が下りてくるので残債を返済しても手元に1,000万円残る計算となります)
これ以上の具体的な試算は省きますが、イメージは伝わりましたでしょうか?
フラット35の場合、団信ではなく生命保険に入る方が
・保険料が安い
・死亡リスクが高くなる後半に団信より保険金額が多くなる
ということになります。
もちろん借入金額や期間、家族構成、保険額によっては得にならない場合もありますので、
それぞれ個々の状況に合わせて検討をする必要があります。
くしくも平成29年10月1日から、フラット35も団信付きの住宅ローンに制度改正が行われました。
実は健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入しないという選択肢も残されており、
その場合の借入金利は「新機構団信付き【フラット35】の借入金利-0.2%」となります。
しかし、大々的には「フラット35と団信が一つになって・・・」という謳い文句ですので、
これまで以上に団信加入が自然な流れとなるのでしょう。
金融機関の思惑どおりに流されないよう、自身に適した選択をしていただきたいと思います。
(原田)
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