ザウスでは完成したお住まいの見学会を随時行っております。
が、今回は我々がとある住宅の見学会に行ってきたお話しです。
1994年竣工の『日本橋の家』。
建築家は安藤忠雄氏。安藤作品としては中期にあたる時代です。
安藤さんの建物は大阪に数多くありますので見る機会は多いのですが、住宅の中を見ることはなかなかできません。
今回の見学会は『住宅遺産トラスト関西』さんが主催しているものです。
『住宅遺産トラスト関西』さんは、「良質な住宅の価値の再発見、そしてそれを活かし、より良い継承の仕組みをデザインする」という活動を行っています。
その一環としてこの見学会が行われました。
ご覧通り、間口の狭い敷地です。奥に長い、いわゆるウナギの寝床。
計画当初の安藤さんの1枚のスケッチには、『狭い』、『狭い』、『実に狭い』と繰り返し書かれていたそうです(笑)。
確かに狭いです(笑)。
ですが、オーナーさんのこの住まいに対する愛着は強く、楽しそうにこの建物に対する思いを聞かせてくれました。
見どころの一つは中庭。
部屋から部屋へ行くのに中庭を通らなければならないのですが、上部に可動式のトップライトがあります。
元々はトップライトもなく雨の日は濡れてしまう計画だったそうですが、設置の要望を勝ち取ったそうです(笑)。
安藤さんの理想とオーナーさんの要望のせめぎ合いがその他にも行われていて、そのやり取りをとても楽しそうに語っておられました。
この建物は近々リフォームを行い、建築を学ぶ学生や若い建築家のためのギャラリーにされる予定だとか。
これだけオーナーさんに愛着を持ってもらえる建物は幸せだなと感じた次第です。