開放感あふれる中庭を持つ、愛車をやさしく包み込む ガレージハウス 京都北区のガレージハウス
所在地/京都市北区
敷地面積/154.3m2(約46.7坪)
延床面積/111.8m2(約33.8坪)
ガレージ/30.2m2(約9.1坪)
ビルトイン台数/2台
愛車/ダットサン・フェアレディ ほか
他の特徴/中庭のある家、二世帯住宅
建築主、建築家、プロデュース会社、三者の共演でこそ生まれた ガレージハウス 。古の都、京都に建つN邸は、開放感あふれる中庭のあるお宅だ。名車フェアレディをやさしく包み込むこのガレージハウスは、どのように誕生したのだろうか。
雑誌 ガレージのある家 vol.32 掲載
photo / Yohei SASAKURA(笹倉洋平)text / Shunsuke OOBUCHI(大渕俊輔)
硬質なタッチのガルバリウムを用いながらも、随所に設えられた格子状の窓からもれる明りが、全体の雰囲気をやわらかくする。京都+国産旧車とくれば、自然と和のイメージが強くなる気がしてしまうが、N邸は和の落ち着いた空気だけを残したモダン住宅として、見事な調和を見せてくれる。
建築主のNさんは、店舗内装関連のお仕事をしており、内装についてはプロ中のプロ。だからこそ、ご自身のこだわりをきっちり再現してくれるパートナーを選びたいと考えるのは当然のことだ。建築会社を数社回ったが、「思い描くデザインを共有できる」と感じたのは『ザウス』であったという。
そんなNさんがガレージハウスに求めたのは、二世帯住宅であることと、メンテナンスもできるガレージがあること。とはいえ、狭く、風通しのよくない家になるのでは本末転倒である。元々お住まいの土地で、上記の条件が満たされるのなら建て替えたいというものだった。
建築家として選んだのは田中幸実さん。シンプルかつ合理的な家作りに定評があり、特にインテリアにこだわりを持つ建築主からは、絶大な支持を集める建築家である。内装のプロと家作りのプロ、それぞれに確立された世界観を持つおふたりは、打ち合わせを重ねることで、徐々にその価値観を共有していった。
Nさんがキッチンや家具などのパース図を描いて持参し、それを田中さんが考える建物にどうマッチングさせるかについて議論したこともあったというから、家作りに対する”真剣勝負”が繰り広げられたわけだ。
一方、担当プロデューサーの氏はこう振り返る。「来店当初より、家のイメージだけでなく、暮らし方においてもしっかりとしたイメージをお持ちでした。ですから、どちらかというと私の仕事はNさんの要望、それに対する田中さんの提案、そのふたつの要素により拡大したコストやスケジュールの調整が主なものでした。
デザインや機能性を損なうことなく、いかにコストパフォーマンスの良い素材、アイデアを探し出すかに注力したつもりです」。こうして、1 階にガレージとお母様の住居スペース、
2 階にNさんご夫妻のスペース、そしてそれらのほぼすべてに面した中庭のあるお宅は完成した。
世界遺産が点在し、街全体の景観保護にも数々の規制が設けられているこの地において、N邸は性質の異なる様々な要望を、関わる人すべての創意工夫により満たしたお宅と言えるだろう。